4ピッチ目 太一
灌木のビレイ点から直上と、右のブッシュ岩のコンタクトラインの2択だったが、前者のラインで。40m?
5ピッチ目 小峰
左手から木登り。迷路のように斜上 50m?
6ピッチ目 太一
50m程伸ばしてから、長さ確認のコール。それからロープの動きが止まる。悪場に入ったか。格闘?は続く。気をつけて、とだけトランシーバーで伝える。結局、ロープは伸びずに解除のコールが聞こえた。
登ってみると太一がビレイしている少し下に最初のビレイ支点が作られており、そこから数メートル進みピッチを切っていた。今のビレイ支点はナイフブレード、ブロックに決めたカム、細い灌木のビレイ点。右手にはルーフが張り出した右上スラブ凹角、左手にはスラブがある。どうやら逆層のハング帯がおおいらしい。
7ピッチ目 小峰
最初に右の凹角を考えるが、太一くんに左のピトンの回収が大変と言われ左からスラブに抜けるラインも確認する。プロテクションは少なそうだが、5m右上に細い木があるので何とかなりそう。という事でビレイ点からハング超えを試みる。しかしいざ探ってみると、ポジティブなホールドが無いため這い上がれない。仕方なく、ビレイ点のナイフブレードでエイド。体を下げて、アブミでダイナミックテスト。ピトンは柔らかくしなるが、抜けなかった。上段に立ち込む。色々とほじくった結果、出てきた隙間に2番。ここから濡れてぬめったスラブをタワシで擦りながら右上へ登っていく。途中途中ピトンや抜けそうな0.5をセットしたがどれも怪しい。落ちたらハング下に叩きつけられそうだ。途中、真横右に出るか上に出て右に行くかしばし迷い、上を選ぶ。何とか繋がっていた。灌木にランナーを取ってからはグイグイと草付きを登り、次ピッチのフォールラインを考えて左に少し折れたところでピッチを切る。
8ピッチ目 太一
偵察時に確認していた、ぶったちロックセクションに到達していた。
いよいよだ。ここが登れるか否かに命運がかかっている。下から偵察した目論見通り、大凹角がある。右手にはクラック(というか隙間)が無数に走る、バルジ状のリッジ。被っているし、浮いてそうだ。
太一くんは大凹角に向かってルンゼ状を登っていく。最も狭くなる喉に入る。ボロいー!と叫んでいるが、とりあえず行ってみます!とのこと。
突然、ラク!のコールがあった。と同時に1m程の平べったい落石がゴゴゴゴと滑り落ちてきた。ここには来ないだろうと思いつつも本能的に体を逆方向に寄せる。落石は止まった。ロープが傷んだかも。
やっぱりこのボロイ喉は危険、という事で10m程引き返し、左にあるはずの凹角を目指す。
9ピッチ目 小峰
凹角手前のハング下でロープの点検。赤のロープが15m程のところで切れかかっていた。仕方ないのでカットする。ロープは既に水を吸っていて一杯に伸ばすこともないので問題ないだろう。
左の凹角を覗く。こちらも相当にボロそうだ。浮石がチョックストーンとなり幾重にも積み重なっている。引っ張るとドミノのように連鎖的に落ちてきそうだ。。ただ、ステミングやフェイスクライミングで外側を登れば浮石ドミノに触らずに登れそう。という事でフェイスを登っていく。岩質的には片麻岩だ。スコットランド アウターフェブリティーにあったのと同じように、褶曲した節理が走っている。ただこの節理、岩ごと外れそうでもあり緊張する。左へのトラバースが悪かったのでA0を交えてステミング〜左壁へ。ロープが岩に触れないようにプロテクションセット、ランナーを伸ばす。凹角の上部も相変わらず浮石だらけだ。今度は右フェイスに戻る。インカットしたホールドがあったのでフリーで登り、右手のリッジ上に出た。振り返るとオルマ本流の流れが近かった。
荷物を担いだ太一くんも、無事フォローで辿り着く。核心と思われていた強傾斜帯を突破できたので多少安堵した。