2022年7月14日木曜日

ノルウェーツアー6

 


狭いシートで寝つきが悪く何度も目を覚ました。今の時期なら夜中の2時でも薄明るい事がわかった。

夜行バスからオンダールスネスで下車したのは、僕たちともう1組だけ。

今までオスロに3日間も滞在してずっと晴れていたのだが、こちらはどんよりした天気。地面が濡れていて、程なくして雨が降ってきた。天気予報も表示される10日間は全部雨マークだ。

朝5時で既に明るいが、人の気配はない。

この街の第一印象は陰鬱とした雰囲気だった。


駅に入ると、ベンチで毛布にくるまっているおじさんが1人いた。僕たちも宿まで歩くのは億劫だったので、ベンチの上で寝袋に入って寝た。


7時、スーパーが開いたので朝食にパンを買う。ホットコーヒーも飲みたかったがそれはなかった。


8時前、レンタカー屋だと思っていたところに行くと、何故かホテルだった。受付の人に正しい場所を教えてもらい更に10分歩く。荷物がないと歩いてるだけでもいい気分だ。


教えてもらった車屋に辿り着いた。ところがここでも問題が。スマホで予約のメールを見せたのだが、そんなものは無いと言われてしまう。

困ったが、確認してもらう間にコーヒーサーバーから一杯頂く。おそらく予約は仮申込の状態で、確定できてなかったのだと思う。

結局予約は見つからなかったものの、オートマのカローラを借りる事ができた。

駅に戻りビッグワンと荷物をピックアップ。宿へ。

次の宿もユースホステルのような感じで、建物に共同のキッチン、さらにはサウナが併設されていた。


そしていよいよ、本命の滝や壁の偵察に向かった。

ロムスダール渓谷のクライミングは、ラウマ川の両側に聳える岩壁が対象になる。氷河で削られたV字谷だ。

オンダールスネスから行くと、まず最初に圧倒的な壁が右側に現れる。トロール壁だ。この時はちょうど天気が回復していたのだが、トロール壁の上部には雲がかかったままになっていた。

正直なところ、デカ過ぎて登る対象として捉えられない。登って行けるイメージがまるで湧かないのだ。トロール壁前には大きな駐車場や売店があるのだが、トロール壁で亡くなったクライマー、ベースキャンパーの名前が刻まれていた。最近だと2019年の事故だった。

トロール壁の対岸にはオムスダールホルンがある。壁がよく見える駐車スペースに移動する。この日はクライマーの車が1台あった。オムスダールホルンは陰鬱としたトロール壁とは対照的で日当たりも良く明るい。それでも500mほどある垂直部や、1500mある山容は迫力十分だった。最近のトポにもこちらは詳しく載っている。登るならまずはこっちが良い。

それから、本命のオルマ(Ølmåafossen)へ。

それはオルマ川沿いを走っていて、遠くからでもすぐに目に飛び込んでくる存在感を放っていた。実は渓谷の両側には、雪渓を水源とした名もなき滝が無数に掛かっているのだが、この滝だけが本当に群を抜いて高いのだ。絶妙に登れそうな傾斜、しかも両側には適度なブッシュ。完璧だ。

だがしかし近くに行ってみると、ほんの少しに見えた垂壁部分が随分大きい事に気がつく。でも、まあほんとよくわからない。

前日の夜行バスによる寝不足も加わり、とにかく現実味がないのだ。

偵察後、オルマの右のルンゼから岩雪崩の音が聞こえ、白煙が上がるのが見えた。少し前にあそこから下降しよう、なんて話を丁度していた所だ。

下降は反対のトレッキングコースをたどる事に決めた。

ベースになる場所を決め、ドローンの撮影も終えたので他の候補も見に行く。


モンゲ(Mongefossen)
これは駐車スペースが無かったので、運転していた僕は見れなかった。ビッグワンが言うには完全に壁らしい。深追いせず次へ。

ドンテ(Døntefossen)
あまりにも傾斜が強すぎる。完全にクライミングの範疇だ。しかも瀑水の影響を受けそう。もしこれが登れたら究極の大滝登攀になりそう。アプローチも泳がないと行けないかもしれない。
ただ、クラック状に見えるラインは繋がっている望みがある。可能性はあるかもしれないが、自分があそこに身を置くのは考えたくない。正直、今は登りたいと思えない。

最初にマルチピッチを楽しみたいとも思っていたが、太一くんの希望もありまずはオルマに集中するという結論に至る。スーパーで買い出しを済ませ、宿に戻った。2人とも寝不足で15時過ぎに就寝。


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